年頭所感

令和3年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

2020年は成すべき事を成した年

2020年はオリンピック・パラリンピックイヤーとして、次代のビジョン確立を掲げてスタートいたしました。前年からの経営改善の成果も見え始め、幸先良いスタートを切ることができたと感じていた2月初旬、新型コロナウイルスの影響が主業となるおしぼりレンタルに出始めました。一方で、弊社の特許技術である抗ウイルス『VB(ブイビー)』やVB配合のポケットおしぼりが、多くのメディアに取り上げられ、様々な顧客層による全国的な販売に繋がっていきました。緊急事態宣言が出された2か月間は非常に厳しい状況が続きましたが、「雇用を守る、会社を守る、健康を守る」ことに徹し、出来うる限りの対策を取っていったことで、雇用環境を維持しながら、会社の経営状況を安定させ、全従業員が成すべき事を徹底する事ができました。その結果、外食産業を中心としたおしぼりレンタルでは苦戦を強いられながらも、2020年8月期決算では、予定通りの収益で着地することができ、足元も好調に推移しています。世界的な歴史の転換点とも言える激動の2020年となりましたが、振り返ってみれば、今まで妥協せず、地道に取り組んできた事が功を奏し、成すべき事を成す事ができた1年となりました。これも常日頃よりFSXの活動を応援して頂いている、多くのステークホルダーの皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。
2020年のトピックスとしては、長年の課題だった人事制度改革をスタートさせ、FSXの新しいビジョンを生み出し、次代の組織体制の確立に向けて動き出しました。営業面においては、各方面のお客様から抗ウイルス『VB』へのお問合せを大変多くいただきました。全国のパートナー企業様だけでなく、クリーニングやリネンサプライ、衛生用品といった、『VB』を必要とされる新たなお客様に対しても、ライセンスの提供を始めています。また、ポケットおしぼりの販売が飛躍的に増大し続けていることで、昨秋には生産設備の限界による欠品が相次ぎ、多くのお客様には大変ご迷惑をおかけいたしました。新たに1台、加工機の増設を急ぎ、欠品解消に向けて稼働を開始しております。さらに年末には、三菱鉛筆株式会社様との共著論文がスイスバーゼルの学術誌に採択されました。VB配合による抗ウイルス樹脂の共同開発を進め、今後の様々な製品開発への応用として、大きな1歩を踏み出しています。もう一つ大きなトピックとして、山梨県富士河口湖町にある同業者の事業を譲受し、9月にFSX富士(株)を設立したことが挙げられます。成長戦略の一環としての事業譲受でしたが、観光資源が豊富な富士北麓エリアにFSXの第2の拠点が出来た事は、主業のおしぼりレンタルの商圏拡大以上の価値があると考えています。将来的には、自然環境や生命科学を念頭に入れた研究・企画開発へと繋がる、壮大なストーリーが期待できます。海外事業に関しては、世界的にウイルスが猛威を奮う中で、予定をしていたほぼ全てを停止せざるを得ない残念な1年となりました。しかしながら、抗ウイルス『VB』は海外からも多くのお問い合わせやご要望を頂き、おしぼりの衛生技術が、海外でも求められているという手ごたえを実感できる1年でもありました。『VB』を海外に広く展開していけるよう、衛生面での許認可にフォーカスを当てた準備を開始しています。

2021年はリ・スタートの年

2021年は、世界的に「リカバリー」が主体コンセプトになるなか、今後の新しい成長へと繋げる出発点として、「リ・スタート」の年と位置付けます。激動の2020年を乗り越えた今、改めておしぼりの本質を再確認する必要性を感じています。おしぼりの起源は、古くは江戸時代、旅人の汚れを拭い、疲れを癒したのが始まりと言われています。衛生とおもてなしのツールとして受け継がれてきた「おしぼり」の原点に立ち帰り、おしぼり産業の再発明に取り組んでまいります。
具体的には、おしぼり産業は観光業の1パートであると再確認し、FSX富士を中心に、成長性の高い観光産業に挑戦していきます。さらにポストコロナ時代を見据え、引き続きヘルスケア・ライフサイエンス領域での事業を力強く押し進めてまいります。エビデンスベースで『VB』の実証を重ねていくと共に、今年は『VB』の新たな展開にもご期待ください。またコロナ禍においてFSXの事業が広く認知され、顧客層も全国規模で多方面に広がっています。工場の増産体制の確立や物流ソリューション、さらにリスク管理や品質保証を一段高いレベルに押し上げていきます。FSXでは平素より、“今日のお客様が明日いるとは限らない”という強い危機感をもって事業を展開してまいりましたが、2021年はさらに予測不能な危機が訪れるかもしれません。どんな状況に置かれても、その中で最善の策を取れるよう、気を引き締めて、私達のコア事業である「おしぼりレンタル」、主力のサービスブランド『VB』、『ポケットおしぼり』、『REION』等を活用したソリューション提案を重ねてまいります。
新型コロナウイルスは、これまでの常識や価値観を考え直す、様々な問いを投げかけてくれました。FSXが掲げている企業スタンス“共生“を軸に、健康、環境、文化といった概念をより事業軸で進化させ、持続的成長に繋げていけるよう、全社一丸となってリ・スタートいたします。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2021年 1月 1日
FSX株式会社
代表取締役社長 兼 最高経営責任者
藤波 克之